東恩納裕一

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私の作品のモチーフは、日常、身の回りにあるごくありふれたものばかりです。
その多くは、かつて、日本語で“ファンシー”と呼ばれ、日本の西欧に対する強い憧れが生み出した、(西欧のものでも/日本のものでもない)中途半端で、キッチュ、少女趣味・悪趣味なものと言えます。

それら“ファンシー”なものは、私にとって、とても馴染みがありながら、私を困惑させる/決して好きにはなれない(疎遠な)もの、“不気味なもの”(ジグムント・フロイト)とさえ言えるものでした。
この、私自身にとっても説明のしにくい、“不気味さ”の感覚・戸惑いの感情が、私の制作の大きなモチベーションになってきました。

例えば、(日本で独自に普及するプロダクトである)サークル型蛍光灯を多用した“シャンデリア”シリーズは、日本で蛍光灯の白く過剰に明るい光/照明が偏愛されることに気付いたことが切っ掛けで制作したものです。
そこには、私自身、蛍光灯の光に馴染みながらも、決してその白々と明るい光が好きにはなれなかったアイロニカルなモチベーションがあります。

ただ、強調したいのは、私が、“ファンシー”なものをモチーフにしたのは、単に、その悪趣味を批判したり、からかったりするためではなく、そこに、一種日 本を象徴するもの(ファンシーな国、日本)、私たち自身を写す鏡を感じたからです。

私の関心は、私が日常のなかに感じる“不気味さ”や困惑といった、どちらかと言えばネガティブな感情を、そのままに表現することではなく、むしろ、制作を 通じて、それらを痛快でセクシー、ユーモアと強度に満ちたポジティブなベクトルに変換しようとするものです。

写真(左):“untitled(FL.100-06)”, 2008, 130x162cm, スプレーペイント、カンバス, (C)Yuichi Higashionna, Courtesy: Yumiko Chiba Associates 写真(右):“untitled(chandelier VII)”, 2005, 125x110x95cm, 蛍光灯、アルミフレーム、配線コード、結束バンド、安定器, (C)Yuichi Higashionna, Courtesy: Yumiko Chiba Associates

2008年 東恩納裕一

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アーティスト。東京生まれ、東京在住。
日常的に存在するものモチーフに制作している。
主な個展にマリアン・ボエスキー ギャラリー プロジェクトスペース/ニューヨーク・アメリカ(2008)、「refract!」カーム&パンクギャラ リー/東京(2008)、「Light Bright Picnic」世田谷美術館廊下/東京(2003)。最近の主なグループ展として「六本木クロッシング2007 未来への脈動」森美術館/東京(2007)、「愉しき家」愛知県美術館/愛知(2006)。
他、コム デ ギャルソン、メゾンエルメスなど、店舗のアートワークも手がけている。
2008年アーティストブックを刊行。
今後のおもな展覧会予定として、
2009年2009年9月12日(土)~10月10日(土)gallery αMにて武蔵野美術大学80周年記念「変成態-リアルな現代の物質性」展のVol.4として個展を開催予定。