The Drawing Room

DR

2002年6月21日ー7月27日

キュレーター: 遠田奈緒

アーティスト:Eva Lee(エバ・リー), Frank Magnotta (フランク・マグノッタ),  Ayae Takahashi (アヤエ・タカハシ)

21世紀を迎えた現代アートシーンはビデオなどのメディアアート、そして空間を鑑賞するインスタレーションアートへと移行してしまったかのようです。しかし、戦争やテロリズムといった行為を引き起こす素因子となる各個人のもつ概念などが、今見つめ直されていると同時に、あえて根本的な要素を持つアートの素材に固守する若手アーティストが注目され始めているようです。その1つがドローイング(素描)作家です。コンピューターシステムも整備され、またそれらを自在に扱えるスキルをもちあわせながらも、なぜ彼らはその昔ながらの素描制作に固守するのでしょうか。

今回で2回目となるイセカルチュラルファンデーションのサマープロジェクトThe Drawing Room (ドローイングルーム)と題し、現在アメリカ在住の若手ドローイング作家3名を紹介致します。1人目はコネチカットにて制作を続けるエヴァ・リーです。彼女は漆黒の無機質な紙の上へ、白インクの点と線によりその宇宙的な世界を展開してゆきます。その広がりゆく宇宙は、何物かの体内の細胞分裂のようにも見えてきます。2人目のフランク・マグノッタはミシガン育ち、現在ブルックリンにて活動するドローイング作家で、毎週・毎月発刊されるテレビガイド冊子内のテレビ番組の放映時間を元に、建物の空間面積とフロアー数を決め、表壁面にはその各番組タイトルを取り付け、空想のビルディングを組み立ててゆきます。3人目のボストンを拠点に活躍するアヤエ・タカハシは、童話に基づいたシーンを、日本の象徴物である襖絵に見立たてたパネル上へ描き出しています。現存する空間と寓話的世界の間を仕切る襖絵上に、彼女は自分のバックグラウンドである東洋的要素と現在生活している西洋社会との融合、そして個人的な心理状態を盛り込んでいます。

現代アート市場の中心とされるニューヨークから離れて育ち、又、活躍中のこれらの作家たちは、最新の芸術メディアを追いかけ続け、消耗熱にかかり気味のアートフリークたちの心のなかに、共感するものを呼び起こすでしょう。それは、彼らの素描の中に見える素直さが与える、気取らない、心地よさかもしれません。

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