Chatchai Puipia: Paradise Perhaps(チャチャーイ・プイピア:多分天国)

CP7

2001年3月8日 ー 4月14日

キュレーター:清水敏男

アーティスト:Chatchai Puipia (チャチャーイ・プイピア)

イセ文化基金アジアアートシリーズ第3回は、チャチャーイ•プイピア(1964年生まれ)です。

タイでは1980年代後半から1990年代初めにかけて国際的美術の動向に呼応した新しい美術運動が起きました。それまで世界の周縁にあって現代美術の動向と無縁だったタイでも、若いアーティストたちが冷戦後の新しい世界的美術運動に加わるようになりました。

タイは1980年代後半からアジア経済圏の発展、日本企業の進出に伴い急激な社会変化を迎えていました。タイ社会はそれまでの農村共同体的社会から工業社会、都市型の生活へと変貌して行きました。バンコクには高層ビルが建ち、道路には自動車があふれ、都市生活の様相は一変しました。若いアーティストたちの新しい美術運動はこうしたタイの新しい現実に呼応したものでした。そこには冷戦の終結、グローバル化の時期が重なり一挙に国際的な美術シーンと結びついたのでした。チャチャーイ•プイピアはそうした新しい動向を代表する画家です。チャチャーイは急激な変貌を遂げたタイ社会を生きる人間の心情を自分のポートレートに託して描写します。そこに映し出されるのは急激な変化に驚くタイ人、あまりの変化に気が触れたかのようなタイ人、新しい時代の意味を考えるタイ人です。またタイ社会の変貌を水や象に象徴させて描いた作品もあります。装飾的な絵画が多いタイ美術にあってチャチャーイの表現主義的な絵画は異色な存在です。近年では表現は幻想性を増してきました。幻想性のなかに現代を生きる人間の心の葛藤と平安への道を描き、より普遍的な人間存在について思いを広げています。

ニューヨークでは1996年にアジア•ソサエティーの「Traditions/Tensions」で紹介され、チャチャーイの作品が展覧会カタログの表紙になっています。

評論:The New York Times, March 23, 2001, by Holland Cotter

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